第49章

九条遥の睫毛が震えた。

「こ……この指輪が、なぜあなたの所に?私はちゃんと……」

「ちゃんと捨てたって言いたいのか?」二ノ宮涼介は冷ややかに笑い、嘲るような口調で言った。

「いったいどこで見つけましたの?」

「無意味な指輪を探す暇なんてないよ。療養院で親戚を見舞ったとき、偶然君のお母さんに会った。この指輪は、彼女が清掃員に頼んで見つけ出してもらったものだ」

二ノ宮涼介は身を翻し、椅子に戻ると、その指輪を無造作にテーブルに投げた。

まるでゴミを扱うかのように。

九条遥は唇の端をわずかに動かした。「二ノ宮社長がこの指輪に意味がないとおっしゃるなら、捨てましたけど、何か問題でも?」

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